一般撮影時のQ&A。知らないことがいっぱい。
ヒバクとは、日本語で、【被爆、被曝、被ばく】の3種類を使います。
最初の被爆は、原爆の被爆です。2番目の被曝の曝はさらされると言うことから被曝を意図としていないため事故による被曝時に使います。
- 一般撮影について知りたい方
- レントゲン検査の原理について知りたい方
- 撮影する意味を知りたい方
- 撮影方法について知りたい方
鉛はエックス線を通さないの?
レントゲン(一般撮影)室の壁には、2㎜の鉛が張ってありますが、撮影(医療)で使うエックス線のエネルギーは高くても150KV。
家庭で使う電圧は高くても200Vだから750倍になるからすごく大きいと思いますが、150KVの電圧から発生させたエックス線で通常の撮影であれば2㎜鉛で透過を防ぐことができるんです。
上記の項目について、詳細に言えばゼロにはなりません。ゼロに近いごくわずかな線量が正しい値です。
医療法などの漏洩線量の限界を超えることはありませんが、ごくわずかな線量です。
150KVの電圧で直接壁に管球を近づけて照射すれば、2㎜の鉛では医療法施行規則制限の漏洩線量を超える可能性あります。
放射線治療(医療)で使うエックス線を生み出す電圧は、15MVです。
撮影の100,000倍のエネルギーです。2㎜の鉛じゃ15MVのエックス線を全く遮蔽できないね!
放射線治療室では、15cm~20cm位の鉛が必要です。エックス線のエネルギーの強さによって違います。
放射線治療室の壁は、1m以上のコンクリートで出来ています。X線が直接当たる場所は鉄板が入れてあります。
厚みを考えれば、コンクリートでも鉄でも鉛でもOKです!鉄筋コンクリート建ての撮影室は、鉛は貼っていませんが、2mmの鉛と同等以上遮蔽能力があります。
鉛はエックス線を通しにくいというのが正解です。コンクリートでも水でも厚さを厚くすれば鉛と同等の遮蔽をすることができます。
エックス線を通しにくい物ってどんな物ですか?
簡単に言うと密度が高いもの。比重が大きいものが通しにくいんです。
その金属の原子が規則正しく並んだ(ぎゅうぎゅうに詰まった)金属が通しにくいよ。
鉛よりX線を通しにくいのが、金、(ゴールド)です。
特に不純物の混ざらない純金の遮蔽の能力は大きいです。
タングステンの遮蔽の能力も大きいよ。金とタングステンの比重は19.3だからね。
鉛は11.35で鉄は7.87です。みどりさんもわかるだろうが、金は高価すぎるんだ。
今は、1グラム5000円以上もするよね。レントゲン室を作ろうとしたら何億円掛かるかわからないね(笑)。
鉛は遮蔽能力が高くて安価で柔らかくて扱い易いから重宝されてるんですが、鉛中毒と言って鉛がからだに入ると中毒を起こすために、近年、遮蔽にタングステンを使用する施設が増えています‼️
お腹の写真は寝て撮る写真と立って撮る写真どこが違うの?
立って撮る(立位)ということは、空気や内容物など軽いものは上へ重いものは下へと重力に関係します。
腸に穴が開いて空気がもれる場合があるんですが、そんな時は空気は写真の上部に集まります。これをフリーエアー(遊離ガス)と言います。
腸が途中で詰まったりすると鏡面像(二ボー)と言って腸管内に水がたまったような画像になることがあります。
撮影する時の話なんだけど、立って撮るお腹の写真って撮りにくいんだよね。
特にお腹の大きい人(妊娠している女性じゃないよ!妊婦さんは原則レントゲン検査はしないからね)は重力でお腹の内臓が骨盤部のほうへ下がってきて下腹部がポッコリなるのでその分上のほうのお腹は薄くなるため、撮影が難しいんです。
1枚のフイルムで厚みの違う場所を撮影するのは撮影条件も難しいが出来た写真も見ずらい画像になってしまうんです。
寝て撮る(臥位)写真は、立って撮る写真に比べてフリーエアーやイレウスは解りずらいんですが、お腹の中に水がたまったり、血がたまったりすると犬の耳のような画像が現れるんです。
これが診断の頼りになるんです。またお腹のガスの状態やお腹の脂肪と臓器の位置関係からお腹の状態が分かります。
側腹線の状態でもお腹の中の状態が分かります。これは立位画像では難しいんです。
どっちの写真が良いの?
必要があって撮るのでどちらも大事ですが画像を診るお医者さん、放射線科医って言うんだけどその先生は、寝て撮った写真の方が情報が多いって言いますね。
肩と肘が痛いのに何故、首の写真を撮るのですか?
『先生からの依頼だから先生に聞いてください。』なんて言う技師もいるようですがこれは、よくないね。
私だったらこう言うかな?『先生は、首の神経からの痛みを疑っているののじゃないですかね?』
実際、腰の場合も同じで『朝起きたら膝が痛いんだが、ぶつけたわけでもないし何もしてないんだ』ってこともよく聞きます。
お年寄りの場合頸椎神経や腰椎神経からの痛みも多いようです。
腫瘍などの痛みもあるため痛い部分の撮影も必要ですが神経に沿った痛みが多く考えられます。
何故、服を脱いで写真を撮るのですか?
裸で撮影するという意味ではないですよね。みどりさん。はい‼何で検査着に着替えるのですか?金属やボタンがなければ着替える必要はないんじゃないのですか?
そうですね少し正しいですね。でもその答え100点じゃないですよ。
1つは衣類の中にはエックス線を透過しにくい繊維もあるんです。
アップリケみたいにくっついたものや、柄のついたTシャツなどで図柄がゴム状のもので出来た絵柄はエックス線を通しにくいもの(写真に写るもの)があるんです。
画像に写ったボタンや金属は、それがボタンや金属とわかるからまだよいのですが、良くないのがハッキリ写ってないのですが、ぼやーと写っている場合はよくありません。
胸部を高圧(150KV)で撮影した場合はエックス線の透過力が強いので問題ありませんが、低圧の胸部写真や子供の胸部写真、お腹の写真ではそのぼやーと写りこんでしまうんです。
そのため画像を見たドクターは病気を疑ったりする場合があるかもしれません。お貸しする検査着は事前に調べているので問題ありません。
もう1点我々放射線技師は正しい正面や側面が撮影したいんです。
胸部では肺野を左右対称に撮影するとか、心臓の陰影を正しく描出したいなどいろいろあります。
整形外科では正しい正面、正しい側面や関節腔をきれいに撮りたいなどあります。
そのため検査着に着替えて頂いたり、手足の撮影では衣類をまくり上げたりしてほしいこともあります。
もし聞きたいことがあれば、メールをください。どんどん答えていきたいと思います。
最後に
一般撮影は診療放射線技師が行う検査のひとつですが、技師の基本と考えています。技師の技術が問われる検査です。
診療放射線技師が画像診断をすることはありませんが、診断する能力や所見を記載する能力は身に付ける必要があります。
画像診断技術を身に付け実際の撮影に生かしてほしい。
実際撮影現場では、研修医の先生と仕事をする機会があり、研修医への情報提供も必要です。