放射線・MR

放射線サーベイメータ:放射線測定器には万能は無く使い分が必要です

ミドリさん
ミドリさん
放射線サーべィメータにはいろいろ種類がありますね

ゲン先生
ゲン先生
それぞれ特徴があるんです。しっかり勉強しようね

放射線サーベイメータで放射線を測る

放射線測定について  

放射線の漏洩線量を測定をする場合、その施設がどの様な放射線を使用しているか知る必要があります。

詳しく知る必要はありませんが、中性子線漏洩があるか?ガンマ線漏洩は?エックス線は?ベータ線は、エネルギーの程度は?などをあらかじめ知っておく必要があります。

サーベイメータには、一台で全ての放射線と線量を正しく測定できるものはありません。

その放射線の種類と強弱(線量率)を知ることで、適切なサーベイメーターを選ぶことができます。そこで今回はサーベイメータや線量計の種類や特性についてまとめてみました。

先ず最初にエックス線とガンマ線サーベイメータについて記述します。

エックス線とガンマ線などの電磁放射線は、電荷を持たないため、直接測定することはできません。

物質との相互作用である光電効果、コンプトン効果、電子対生成により発生した電子の電離や励起作用を利用しています。

電離箱式サーベイメータについて

現在使用されている電離箱式サーベイは、電離用気体として空気を使用しています。サーベイには、外気を遮断した密封タイプと外気との交換を可能にした解放タイプがあります。

電離箱に入ってきた電磁放射線(エックス線・ガンマ線)と空気との相互作用により二次電子が生成され、その二次電子が存在中(飛程中)に引き起こす空気での電離作用は、広い空気層が必要となります。

しかし持ち運びの観点から考えると実用的ではありません。そこで空気と同じ原子番号を持つ大きな密度の個体壁を作ることで、持ち運び可能な電離箱式サーベイメータを作ることが出来ます。

この小さな電離箱内で生成されるイオン対が、大きな電離箱内で生成されるイオン対と同量となることで電離箱式サーべイメーターとしても利用可能となります。

また電離箱式サーベイのエネルギー依存性は、GMサーベイやシンチレーションサーベイと比較しても非常によく、小線量測定も可能なため管理区域の測定にも適しています。計測可能な測定範囲:1μ㏜/h~300m㏜/h

電離箱環境省_放射線測定の原理より引用

電離箱サーべイ使用時の注意事項

線量計とサーベイメータの原理はほぼ同じですが、測定できる線量(計測範囲)には大きな差があります。

事業所境界などの極めて低線量率現場の測定には適していませんが、比較的感度の良い装置では、法的に示されている管理区域境界の基準レベル線量率(~2.6μSv/h)での使用は、許容できる装置です。

しかし本来の線量計では高線量地域やパルス状の放射線場の測定に優れています

ゼロ点調整は頻繁に行うほうはよいと考えます。使用中に徐々にゼロ点がずれることがあるので長時間使用する場合はゼロ点調整を時々行うようにしましょう。

レンジ切り替えを行う時にゼロ点が狂うことがあるので調整の必要があります。

短時間しか放射線を発生させない装置を測定るる場合、積算モードにして測定することが望ましいと考えます。

長期間湿度の多い場所での保存は誤動作の原因になるので使用しないときは、デシケターなどでの保存が必要です。

半導体などのサーベイメータに比べ機械的ショックに弱いので取り扱いには十分な注意が必要です。

GM計数管式サーベイメータについて

気体の電離を利用した線量計としては電離箱と同様ですが。印加電圧は電離箱より高電圧で0.5~1kvを印加します。そのため得られるパルス波高(感度)は高く、低線量測定に適しています。

端窓型や円筒型の多いGM計数管は入射窓のアルミ製のキャップを外すことによってベータ線が測定できるようになっています。円筒窓にはベータ線を遮蔽しないように薄い雲母の膜が張られています。

電磁放射線(ガンマ線やエックス線)を測定する場合は前面のキャップを付けて測定する必要があります。

円筒形の筒内にはアルゴンガスやヘリウムガスに少量のアルコールやメタンガス、ハロゲンガスを混ぜて入れてあります。陽極は円筒中央の芯線とし、陰極は外側の円筒管壁にしています。

入射した電磁放射線(エックス線・ガンマ線)とキャップとの相互作用により出来た電子が管内のガスをイオン化してイオンを発生させます。芯線近傍では電子なだれがおこり、芯線には大きな電流が生まれます。

陰極には陽イオンが漂いながらゆっくりしたスピードで流入し、微量に混在させた有機ガスとの相互作用により、内部クエンチングを起こして管内の電界を正常時に戻します。

上記のような電子なだれにより次の放射線測定までには、多くの時間を必要とします。不感時間、分解時間、回復時間を経過後に測定可能となるため、高線量率測定や高放射線場では窒息現象により測定不能になります。

放射線への感度は良いですが、高線量率測定には不向きです。また短い時間で繰り返されるパルス状の放射線測定状況では数え落とし現象が起こり正確な測定値が得られないことがあります。

一方クエンチングを起こさせた有機ガスは中性化します。そのため有機ガスのクエンチング能力が落ちていくため、GMサーべとしての使用限度があります。

ハロゲンガスを封入した計数管はクエンチング後再結合して、元の状態に戻るため、有機ガスを封入したものより長く使用できます。

 

GMサーべ
不感時間・分解時間・回復時間

不感時間:入射した放射線が起こす放電により、中心の電極を覆うように漂う陽イオンにより測定可能な電位とならないため、新たな電磁放射線が入ってきても放電が起こらないこの時間を不感時間と言います。

分解時間:不感時間が終了すると陽イオンは陰極方向へ移り、陽極では電界が回復し始める。小さなパルスが発生して、計数が可能な波高になるまでの時間を言います。

回復時間:正常な電界まで戻った状態でパルス波高の大きさも元の状態へもどるまでの時間を言います。

GMサーべ使用時の注意事項

これが一番注意しておきたい点です。高線量率(~10mSv)な場所では窒息現象で測定指示値が変わらないことがあるので、高線量率発生地域やパルス状の放射線発生地域での測定には使用しないことをお勧めします。

使用しなけれならない場合、測定器の指示値が常時動いてることを確認してください。高線量率現場で測定可能なGMサーべイも開発され市販されています。

バックグランド程度の低線量率の測定に適しており、数100μSv/hまでは正確な値が示されますが線量率が増すごとに正確性はなくなり正しい値より低く表示されます。

計数管前面にあるキャップを外すことによりベータ線や軟エックス線の測定が出来るようになります。またガンマ線発生場でありながらベータ線の存在が確認できます。

キャプを外した場合、雲母の膜は破れ易いの触れてはいけません。またベータ線測定時、測定器を検体に近付けますが、消して触れないようにしましょう。

計数管には他の測定器に比べて高電圧が印加されいるため、湿気などに注意が必要です。湿気よる誤作動を防ぐため、乾燥した場所での保管が必要です。計測可能な測定範囲は0.1μ㏜/h~300m㏜/hです。

シンチレーション式サーベイメータについて

通常、電磁放射線(エックス線・ガンマ線)を測定するシンチレーション式サーべイメータには、Nal(Tl)やCsl(Tl)シンチレータが使われています。

Nal(Tl)シンチレータには、活性化物質としてタリウム(Tl)が混ぜてあり、目に見える光への変光とその光の放出効率を高めています。

電磁放射線がシンチレータ結晶に入射すると、光電効果、コンプトン効果、電子対生成の3作用によって電子を発生します。

これらの電子のエネルギーを蛍光体が吸収して電離、励起と活性化物質(アクチベーター)の励起も起こし可視光や紫外線を放出します。

その光が光電面に入射すると光電面からは光電子が放出され光電子増倍管により100万倍程度に増幅して大きな電流を得ています。

Nal(Tl)シンチレータの発光効率は他のシンチレータよりも高く10%~15%程と優れています。計測可能な測定範囲は0.03μ㏜/h~30μ㏜/hです。

Nal(Tl)シンチレータは吸収エネルギーに比例した光を出すので、エネルギー分析が可能です。Nal(Tl)シンチレータを用いたサーベイメータでは、感度誤差が大きい50keV以下の測定は出来ないようにしています。

各メーカーの商品開発により高感度Nal(Tl)シンチレーションサーベイも開発され、8keV ~ 1.5MeVの低エネルギータイプも市販されています。

シンチレーション国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構HPより引用

シンチレーションサーべ使用時の注意事項

Nal(Tl)シンチレータは電磁放射線(エックス線、ガンマ線)に対して感度が高く低線量率測定に適しています。よって医療現場での漏洩線量測定には適した検出器と言えます。

シンチレーションサーベは方向依存性が良くありません。また一般のシンチレーションサーべの測定下限は50keV程度です。

これより低いエネルギーに対してフィルターなどでエネルギー補償を行うエネルギー補償型が開発されています。

高エネルギー放射線に対しては、感度が低く加速器周辺での測定において電離箱より低い線量率を示すことがあります。

光電子増倍管に印加する電圧が増倍率に依存しますので、高圧電圧の安定が大事な測定要件になります。

半導体式サーベイメータについて

放射線による固体の電離を利用したものが半導体検出器です。半導体には、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウムひ素(GaAs)などが使われています。

P型半導体(陰極)とN型半導体(陽極)を接着して自由に電子が流れないような状態を作ります。

P型半導体(陰極)とN型半導体(陽極)の間には空乏層が存在し空乏層に電磁放射線(エックス線、ガンマ線)が入ると放射線が電離され電子と正孔ができます。

P型半導体(陰極)に正孔、N型半導体(陽極)に電子が移動し電気が流れます。

半導体の長所として、小型で軽量、応答反応が良く低線量(3μSv/h)から高線量(100mSv/h)までの広範囲で測定ができます。

しかし低エネルギー電磁放射線(エックス線、ガンマ線)には感度が低く規格では80keV~1.5MeVでその特性は±30%です。

中性子線測定器(レムカウンタ)

中性子線の空間線量計としてよく知られているのがレムカウンタです。線量当量を直読できる線量計で市販されている代表的な中性子線測定器です。

中性子線にはエネルギーの低い熱中性子線からエネルギーの高い速中性子線まであります。

中性子線は、電磁放射線(エックス線、ガンマ線)と同様に電荷をもたないため、直接測ることはできません。

中性子線が物質との相互作用で生じる荷電粒子の電離力や励起力を利用します。

レムカウンタとは、減速材を計数管の周りに装着して速中性子を減速させて熱中性子として測定します。

そのための減速材料としてポリエチレンやパラフィンなどの水素を多く含んだ減速剤が使用されます。線量計自体は比例計数管を使用しています。ロングカウンタも同様な原理です。

比例計数管は、計数管本体が金属で作られ、円筒状の筒状中心に細い針金を設置して混合ガスを封入しています。

BF3(3フッ化ホウ素)ガスが封入された計数管の場合、入射した熱中性子線とホウ素による核反応によりアルファ線とリチュウムイオンが生成されます。

生成されたアルファ線は荷電粒子でもありガスを電離して、得られた電気信号により中性子が計測されます。

BF3ガス以外も3Heを封入した線量計があり、3He(n,p)3Heの核反応を利用しています。レムカウンタの種類には3Heを封入した検出器が数多く市販されています。

中性子線計測に関する注意点

中性子線が発生するタイミングではガンマ線も同時に発生することが多く、ガンマ線を除外して中性子線のみの測定がより正確な測定です。

(ガンマ線と中性子線では人体に対する放射線の影響では中性子線が特に大きい。それは中性子線の放射線荷重係数が非常に高く速中性子ではガンマ線の20倍にもなります。よって正しい中性子線量の測定が正しい評価となります。)

まとめ】

エックス線やガンマ線と言った電磁放射線を測定する場合、高エネルギーか?低エネルギーか?の分類と高線量率場か?低線量率場か?の分類によって使用出来るサーベイメータは決まってきます。

その判別をして使用できる機器を適切に操作することで正しい線量を知ることが出来ます。

現在、エネルギーの高低や線量率の高低に対応した装置が開発されてきていますが、電磁放射線以外の粒子放射線も同時に1台で測定できる装置の開発が望まれます。

GMサーべイメータ及びシンチレーションサーベイメータでは原理的に高線量率の放射線測定を検出することはできないので注意が必要です。

臨床からたどる放射線物理(4)放射線を測る:臨床放射線Vol.56 No.4 2011より引用

上記に示した線量と文中の線量とは違い場合があります。使用される線量計や使用素子などの違いもあります。

トピック

半導体測定器とGM管式測定器を組み合わせた装置が発売されました。

半導体測定器とGM管式測定器を組み合わせ、1台の測定器で漏洩線量測定や散乱線測定、表面汚染の検出、環境放射線測定、非破壊検査用エックス線原の線量測定などが可能となります。

参考文献

臨床からたどる放射線物理(4)放射線を測る臨床放射線Vol.56 No4 2011  

空間線量測定マニュアル:[編集]日本保健物理学会

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柿田 彦
診療放射線技師として医療現場で培った技術と第1種放射線取扱主任者として得た知識をいかして皆さんに還元したい。また、 第ニの人生を満喫しながら、おっさんブロガーとして頑張っています。これからは『人生楽しく』をモットーに、wordpressの楽しさと使い方を初心者にお伝えしたいと考えています。