低線量放射線被ばくでは、人体に悪影響及ぼすのか?
ヒバクとは、日本語で、【被爆、被曝、被ばく】の3種類を使います。
最初の被爆は、原爆の被爆です。2番目の被曝の曝はさらされると言うことから被曝を意図としていないため事故による被曝時に使います。
最後の被ばくは、医療の放射線検査による被ばくで使用されます。下記の記事には、ヒバクが混在しています。
- 放射線被ばくを一から考えたい方
- 低線量被ばくについて疑問を持っている方
- 自然放射線について知りたい方
- 放射線被ばくに関する情報が欲しい方
本文
病院勤務40年以上、放射線を取り扱って来ましたが「管理出来てない放射線は危険」という意識で接していました。
仕事柄、一般の方よりは、被ばくに怖さありません。しかし低線量率放射線にずっとさらされることには、抵抗があります。
『低線量放射線を超えて』という本に出会い、多くの低線量放射線についての資料を読み、考え方に変化があります。
全ての意見に共感できた訳ではありませんが、納得できる資料と出会いました。
基本的な話ですが、低線量放射線被曝とは、どれくらいの線量のことをいうのでしょうか?いくつかの条件があります。
低線量被爆について調べてみると、概ね100〜200mSv以下の線量を低線量放射線被爆と言います。その基となるものは、原爆被爆者の疫学調査などにより導き出された線量です。
生物学的効果や影響を考えた場合、上記の線量では、原爆被爆者への悪影響の大小や有無が議論できない(わからない)被爆線量のことを言います。
言い換えれば、この病気の発症が放射線被爆によるものか否か判らない線量限度をいいます。
低線量放射線とは、100mSv迄という意見と200mSv迄とする意見がありますが、私は100mSv、低線量、低線量率を条件としています。
低線量被曝の条件には、もう一つ被ばく方法があります。それは、実効線量による被曝です。
放射線被曝と言いますが、被ばくには、全身に放射線を浴びた場合と局所に浴びた場合があります。
全身に浴びた放射線線量を実効線量と言います。局所被ばくの場合は、全身に均等化(換算)した値を言います。
実効線量への換算方法は、臓器に重み付けをして線量を決めます。
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation:UNSCEAR)の定義によれば、総被曝線量が200ミリグレイ未満を「低線量被曝」、200~2000ミリグレイ未満を「中線量被曝」、2000ミリグレイ以上を「高線量被曝」としている。 日本大百科全書(ニッポニカ)より
被ばくの種類と放射線の種類、線量率により人体への影響が違う。
低線量放射線被ばくの定義の中で、『原爆被爆者の調査』とありますが、原爆被爆の場合、原爆投下による急性被ばくとその後の長年にわたる慢性被ばくがあります。(黒い雨などによる被曝)
放射線被ばくには、原爆による被爆、原発事故による被曝、医療放射線検査による被ばくなどがありますが、中性子線、アルファ線、ベータ線、エックス線など放射線の種類など、浴びる放射線の種類が違います。
放射線被ばくには、高線量率被ばくと低線量率被ばくがありますが、言い換えれば、高線量率被ばく≒急性被ばく、低線量率被ばく≒慢性被ばくと言えます。福島へ戻られた後の被ばくがあるとしたらそれは、慢性被ばくです。
もう1点、現在の日本の年間自然放射線量は2.1mSvです。世界平均では2.4mSvですが、もっと多い処があります。
それがイランのラムサール、中国の陽江、ブラジルのガラパリなど日本より高線量地域が多く存在しています。
- その中でもイランのラムサールは日本の20倍以上の地域があります。
- そんな高線量地域でも健康に問題がないことが証明されています。
世界の高自然放射線地域の健康調査より
『低線量放射線を超えて』宇野 賀津子さんの書かれた書籍です。この本の宣伝をするつもりはありませんが、ホントに良い本です。-健康で安心して生きていくために-と副題がついていますが、読んで納得、不安解消できる内容です。
また過去の放射線の出来事から免疫力のアップに関することまで説明してくださっています。
(免疫学者でもあり免疫力がアップする話も書かれています。)
まとめ
世界には、ラムサールのような自然放射線の多い地域が、数多く存在しています。そのなかで住民は、平穏無事に暮らしています。その状況を調査して、正確な回答を出してほしい。
放射能泉についても許可されている以上調査して正確な回答を出してほしい。
医療のなかで、放射線検査や再検査に対して、ヒステリックな方が居られます。こちらの方は過剰に放射線を怖がられています。説明をしても納得してもらえません。拒む患者さんのためにも、怖がる量ではないことが周知できるようにしたい。
私のこの記事は、低線量放射線被ばくは、100mSv以下であることを念頭に置いて記事を書いています。
私は放射線技師として病院に勤務しておりますが、放射線検査時の被ばくでは、100mSvは超えてはならない線量です。
放射線検査では、全身被ばくを受けることは少なく局所被ばくが大半です。よって実効線量が100mSvを超えることはありません。(核医学検査は、全身被ばくです)