放射線・MR

MR パルスシーケンス 標準的な撮像法の解説からスタートします

MR パルスシーケンスを勉強しよう。

新人技師澪さん
新人技師澪さん
今回は撮像法の説明でしたね?楽しみです。

ゲン先生
ゲン先生
そうなんだよ。MRでは、『静磁場』と『コイル』とソフトが重要なんだ。その中の1つソフト『パルスシーケンス』大切だからしっかり覚えようね。
こんな方に記事を読んで頂きたい
  1. MR検査に興味なある方
  2. MR原理について知りたい方
  3. MR検査の撮像方法の種類について知りたい方
  4. MRシーケンス内容について知りたい方

MR装置を導入する際によく言われることが、①静磁場の大きさ、②送受信用コイルの種類そして③アプリ(パルスシーケンスなど)この3つが揃って装置の評価になります。

例えば、3.0テスラ装置が導入されて、受信コイルもいろいろ揃っていても適切なアプリ(パルスシーケンスなど)が無かったら、必要な検査ができません。

その重要なパルスシーケンスがないと3テスラの大きな静磁場や、優れた送受信コイルが揃っていても装置の良さを生かせません。

ゲン先生
ゲン先生
MR画像の基本は何と言ってもT1強調とT2強調だね。IR法も重要だよ。

最初にスピンエコー系のT1強調とT2強調、IR(Inversion Recovery)について説明します。

T1強調画像について

MR検査を勉強するにあたって最初に出てくるものが、T1強調とT2強調です。

90度パルスによって倒された磁化が戻っていく状態がT1緩和(縦緩和)です。

それではどのようなタイミングで画像収集が行われれば、良い画像が得られるのでしょうか。

下記に示す通り、時間経過と共にT1信号が増えて行きます。

縦緩和

T1強調画像を得るには、TR(繰返し時間)は200~400㎳、TE(エコー時間)10~20㎳が標準的な条件です。

TRは、200~400㎳でT1がしっかり強調される繰り返し時間です。

T1緩和の速い組織と遅い組織を比べると、ブルーの時間帯での信号強度(量)は最大値の半分ぐらいですが、2つを比べると大きな差があります。

イエローの時間帯での信号強度(量)は多いのですが、2つを比べるとあまり大差がありません。(個々の信号強度と言うよりも2つの信号の割合を比較します)

この2つの組織を画像化した場合、差が大きいブルーゾーンのTRを使うことがT1強調をより強くイメージすることができます。

繰返し時間(TR時間)を延ばせば、撮像枚数を増やすことが出来て、全体の検査時間を短くできます。

施設によっては繰返し時間(TR時間)を600msにする施設もありますが、学問的にはあまり良いことではありません。T2要素が入ってきます。

ゲン先生
ゲン先生
撮像枚数を増やす場合、学問上ではTR450msを2回繰り返すシーケンスを組みますが、実践ではTRを長くすることで対応します。そのほうが検査時間が短くて効率がいいんだ。

T2強調について

T2強調も最初に覚えるシーケンスです。

T2強調には、スピンエコーによるT2強調、ファーストスピンエコー法によるT2強調、グラジエント エコー法によるT2*強調、エコープラナーによるT2*強調がありますが、先ず最初にスピンエコーのT2強調について説明します。

横緩和

90度パルスを印加して倒した磁化が緩和によって(横磁化が)減少する状態を表しています。

イエローの時間帯では両組織とも高信号ですが2つ(緩和の速い組織と遅い組織)の差が少なく、この時間帯で画像化すると画像上でもコントラストの少ない画像ができます。

ブルーの時間帯では信号量は少ないのですが、2つの信号の差(比率の差)は大きくよりコントラストの付いた画像ができます。よって撮像時には、ブルーゾーンの80㎳~120㎳が使われます。

T2強調画像を作成する場合、TE(エコー時間)は重要なファクターであるためTEをコロコロ変化させると画像が変わってしまいます。

前術のT1の繰返し時間(TR)より大きな変化ですので、放射線科内での意見統一が必要でしょう。

ゲン先生
ゲン先生
T2強調画像ではエコー時間(TE)を変更するときは気を付けてね画像が凄く変わるからね

IR(inversion recovery)法について

IR(inversion recovery)法は日本語で反転回復法と言います。前述したT1強調画像よりコントラストの付いたT1強調画像が得られます。

反転状態からの回復は、T1にのみ依存するため、T1強調の強い画像が得られますがT1強調画撮像法として使われることは少なく、脂肪抑制法やフレアー法として使用されています。

 

反転緩和

STIR法について

この脂肪抑制は非選択的脂肪抑制法です。

最初に180度パルスを印加して、マイナスからの磁場回復を待ちます。図のように脂肪の回復は早く、水の回復はすごく遅くなります。

その信号がゼロになるところをnull pointと言い、それまでの時間をTI(反転時間)と呼びます。

そのnull point地点で反転パルスを印加することによりnull point上にある組織の信号をゼロにすることができます。

脂肪抑制が目的のため、反転時間を120msに合わせることにより脂肪抑制画像が得られます。

この脂肪抑制撮像法をSTIR と言います。TI(反転時間)が120㎳と短いためshort TI inversion recoveryと言います。

90度パルスを印加した後は、通常のSE法やFSE法が行われます。

また、TIを2000msに合わせることで、水を抑制することが出来ます。

これをFLAIR(フレアー)と言います。幅広く脳梗塞の検査として使用されています。

STIR法の注意点

この脂肪抑制撮像法(STIR)は、脂肪以外に脂肪と同じ緩和時間を持った組織の信号がゼロになりますので気を付けましょう!

また造影検査でも同様に造影による染まりが低減する恐れがありますので、造影検査においては、他も脂肪抑制検査を選びましょう。

脂肪抑制を考えた場合、反転時間後(null point)に90度パルスを印加しますが、その時点でのほかの組織の信号を緩和によって小さくなっています。

特に脂肪と近い緩和時間を持った組織や臓器では、より信号強度が小さくなります。

脂肪抑制法の意義

人体には、多くの脂肪や脂肪を含んだ臓器があります。

その人体を検査する場合、MR検査で使われるT1強調画像やT2強調画像では、脂肪が白く高信号に表示されます。

そのため脂肪に接した組織や病巣の境目がハッキリしないことや脂肪の高信号に埋もれてしまって見えないこともあります。

特に造影検査においては、脂肪の高信号と造影による高信号が重なり見分けが付かなくなります。

T2強調画像では、水がより白く光り脂肪も少し白く光ります。

腫瘍内に脂肪を含んだものがあるか無いかを知るためにも脂肪抑制は、重要な役割を持っています。

STIRにより脂肪抑制法の話が出ましたので、その他の脂肪抑制についてお話しします。

脂肪抑制の方法には、非選択的脂肪抑制法の他に選択的脂肪抑制法や水・脂肪信号相殺法、周波数選択励起法があります

周波数選択的脂肪抑制法

周波数選択脂肪抑制法にもいくつかの種類があります。

周波数の差を利用して90度パルスで脂肪信号のみを消すCHESS法反転パルスとインバージョンリカバリーも行う方法があります。

CHESS法について

Fat SatやChem SATもCHESS法と同様な脂肪抑止法です。

CHESS法は、chemical shift selectiveと言います。

MR装置メーカーによって言い方は違いますが脂肪プロトンと水プロトンの共鳴周波数の差を利用しています。

最初に脂肪プロトンの共鳴周波数帯域と一致したプレサチュレーションパルスを印加して脂肪プロトンの信号を消しておきます。

実際は90度パルスを印加後スポイラーによって残留信号を除去します)その後通常の撮像を行い信号を得ます。最初に選択的に脂肪信号を落としているため脂肪信号はありません。

しかしFOV(撮像面)全体の脂肪を抑えるのはむつかしいく空気と組織との境目や磁化率の差の大きなところでは脂肪信号が残ってしまいます。また検査時間延長にもつながります。

腰椎検査時に、お腹側の脂肪部分にこのサチュレーションを入れ、呼吸によるアーチフクト消すためによく使われます。

通常腰椎のサジタル像を撮像する場合、お腹の表面にある脂肪が白く光り、呼吸によって上下するためアーチファクト(邪魔な信号)となり画像に悪影響を及ぼします。

SPIR法・SpecIR法について

脂肪の周波数のみを選択してインバージョンリカバリー法を行う脂肪抑制法です。

最初に脂肪に合致した反転パルスを印加して90度より少し多い100度~110度磁化ベクトルを倒します。

180度反転パルスを印加すると緩和時間が多くかかるため、90度より少し大きな反転パルスを印加することが重要です。

その後T1緩和が始まり脂肪の緩和がnull pointになったところで180度パルスを印加します。

すべての組織からの信号が反転し磁化ベクトルを得るが、null point上にある脂肪の磁化ベクトルはゼロのため脂肪からの信号が抑制されます。

従来のSTIR法のインバージョンリカバリーとは違い脂肪以外の組織の信号を抑制することはありません。

よってその組織の信号が抑制されればその組織は脂肪であるといえますが信号が抑制されなければ脂肪ではないと断言できます。この点がSTIR法と違うところです。

 

新人技師 澪さん
新人技師 澪さん
脂肪抑制法にこんなに多くあるとは知りませんでした。勉強になります。
ゲン先生
ゲン先生
元来MRで撮像する主なものは脂肪と水なんだT1画像では脂肪が高信号、水が低信号、T2画像では水も脂肪も高信号だから脂肪抑制法は大切なんだ。IRつながりで、FLAIR法も次に紹介するね

FLAIR法(fluid-attenuated IR)

水(脳脊髄液:CSF)を抑制した撮像法でFLAIR(fluid-attenuated inversion recovery)と言います。脳梗塞を検出するために有用な検査です。

T2強調画像では、脳梗塞部分と脳浮腫部分が同じように白く描出して区別ができないことがありましたが、FLAIR法により区別が可能になりました。

高速FSE法により積極的に使用されるようになりました。それでもTI(反転時間)が2000msと長いため、検査時間が長くなります。

患者さんの待ち時間が多い時は、アキシャル画像以外には使いたくない撮像法をです。(MR担当技師😂)

[chat face="gen6-1.jpg" name="ゲン先生" align="left" border="green" bg="green" style=""]本音を言うとフレア検査って検査時間が長いんだ。その長い検査でサジタルやコロナル画像を撮像すると時間が凄くかかるんだよ次の患者さんも待っているから、あまり何回も使いたくないんだよ。[/chat]

ABOUT ME
柿田 彦
診療放射線技師として医療現場で培った技術と第1種放射線取扱主任者として得た知識をいかして皆さんに還元したい。また、 第ニの人生を満喫しながら、おっさんブロガーとして頑張っています。これからは『人生楽しく』をモットーに、wordpressの楽しさと使い方を初心者にお伝えしたいと考えています。