MRCPはMRを使用して胆のう、胆管、膵管を描出する検査です。
- MRCP検査を受けるにあたって検査内容を知りたい方
- ERCP検査を受ける必要がありMRCP検査について知りたい方
- MRCP検査を知りたい方
- MRCP検査について知りたい学生さん
MRCPとは?
英語でMagnetic Resonance Cholangio Pancreatography、日本語で磁気共鳴胆管膵管造影と言います。
磁気の共鳴現象を利用した胆嚢と膵臓の造影と言うことです。
しかし、造影と言っても造影剤は使いません❗造影したような画像ができます。
X線TV装置と内視鏡(胃ファイバー)を用いたERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)と同様な検査をMRで行うからMRCPと言うようになりました。
胆管や膵管には胆汁や膵液が流れています。胆石やがんが管を塞いで流れが悪くなれば管は膨らみます。
その胆汁や膵液などの液体を画像化する検査がMRCPです。
ERCPとは?
ERCPは、俗に胃カメラと言われるファイバーを口腔や鼻腔から、食道→胃→十二指腸まで入れて、胆管と膵管の出口から流れとは反対に造影剤を入れて造影する検査です。
この検査は、胃や大腸の状態を視覚的にみる内視鏡検査装置を使用して胆管と膵管を造影剤で満たしてX線で撮影する造影検査です。
胆管(胆のう)や膵管の中にカメラを入れて見たいのですが細い胆管や膵管の奥までカメラを入れることが出来ないため、造影剤で満たしてX線写真を取り観察します。
MRCPとERCPを比べると文字は似ていますが全く違った方法で行う検査です。
ERCPのように内視鏡を入れる苦痛もありませんし胃や腸の運動を抑制する必要もありません。
またX線による放射線被ばくもありません。
検査中は大きな音がしますのでヘッドホンをして、従来のようにMR検査を行うだけです。(息止め検査の場合、ヘッドフォンより息止めの合図があります)
もう少し説明しますと少し甘めの造影剤を飲んで、お腹に送受信用コイルを巻いて検査を受けます。
検査方法は、息止め検査であったり、呼吸同期検査であったり施設によって違いますが、従来のMR検査と同じです。
先ほど造影剤を飲むと言いましたが、その造影剤はバリウムのような造影剤ではなく、十二指腸や胃の中にある胃液が検査の邪魔にならないように、その胃液を見えなくする薬(陰性造影剤)です。
上記画像のように液体(胆汁や膵液)のある場所は白く光っていますが、そのほかは黒く信号を出していません。
胆汁や膵液の流れは、すごくゆっくりです。静脈や動脈のような流れがある場合、MRCP検査では撮像することが出来ません。
撮像原理
強いT2強調画像を撮ることが求められます。従来T2強調画像は水が高信号で表される撮像法です。
その他に脂肪も少し高信号となるため、脂肪抑制して他の高信号組織が高信号にならないようにします。
その中で胃や十二指腸にある水が高信号にならないように陰性造影剤を飲んで信号を消します。強いT2強調画像のため胆管や膵管内の水が真っ白に光ります。
そこで全体を暗くすることによって少し光っていた他の臓器の光は抑えられます。
シーケンス例
色々な撮像方法がありますが1例を述べます。
FSE法で撮像する場合、180度パルスを多く使い(ETLを増やす事)実効TE(エコー時間)を長くしてTR(繰返し時間)10000㎳以上、3D撮像で簡単に撮影できます。(kスペースの埋め方を工夫してより強いT2強調にしています)
フェリセルツ・ボースデル
フェリセルツ・ボースデルを陰性造影剤としましたが、T2強調する検査では陰性造影剤ですが、T1強調する検査では陽性造影剤として使用されます。
T1強調する検査では、X線TV検査で言うとガストログラフィンのような使われ方をします。(通過障害の確認や腸であることの目印)
特に胆管や膵管が閉塞していてERCP検査が出来ない患者さんや体力的にERCPが出来ない患者さん、子供さんにたいしては威力を発揮します。
しかし腹部全体を画像化しますので腹水やのう胞があれば、同時に画像化されます。
まとめ
・MRCP検査は、水を強調するシーケンスを用いるとともに、脂肪抑制を加え信号を抑える。
・胃や十二指腸の水には、陰性造影剤を使用して信号を抑える。
・完全閉塞や胆石、ガンなどで、胆管やすい管が拡張した患者さんには、適した検査です。
・放射線被ばくもありませんので、小児にも適しています。
・MRCP検査は、MR検査ですから閉所恐怖症の方には難しい検査です。