- MRシーケンスについて知りたい方
- グラディエント エコー(GRE)法について知りたい方
- GRE法の原理について知りたい方
- GRE法でどんな画像が撮像できるか知りたい方
グラディエント エコー法(GRE法)とは?
今回の記事では、グラディエント エコー法はGRE法、スピン エコー法はSE法と表します。
GRE法とは、180°パルスを使用しないで、傾斜磁場の反転のみを利用した高速撮像法です。
SE法とGRE法を一言で言うとこうなります。
画像が鮮明なSE法に対し、撮像が速いGRE法と言えます。
SE法は、180°パルスを用いて再集束を図るため、鮮明な画像が得られます。
GRE法は、傾斜磁場を反転することで磁場を集束をしますので短時間で撮像できます。
見方を替えれば、SE法は撮像にかかる時間が長く、GRE法は綺麗さに欠ける画像とも言えます。
その速さと磁化率に敏感なGRE法の特性についても詳しく説明します。GRE法には、色々な種類があります。
GRE時にスポイラーをかけて横磁化を消したシーケンス(FLASH、SPGR)や高速化した(FSPGRやTurboFLASH、FFE)、脂肪抑制と併用して血管や水が白く高信号に描出されるシーケンスもあります。
GRE法でも、SE法でのT1強調画像やT2強調画像のような画像を得ることが出来ます。
GRE法の種類と特徴
T1強調を考えた場合
TRが長いGRE法では、次に印加するRFパルスまでに時間があるため横磁化は減衰してしまう。よってT2*信号を考慮する必要がありません。
しかしTRが短いシーケンスの場合、横磁化が減衰する前に次のRFパルスを印加するため横磁化が残ってしまいます。
そこで横磁化を消す必要があります。横緩和を早めるスポーラーパルスを印加することにより横磁化の消滅を図ります。
横磁化を消すシーケンスをSPGR(Spoiled GRE法)やFLASH(Fast Low Angle Shot)と言います。T1強調画像として使用します。
T2強調を考えた場合
反対に横磁化を残したシーケンスにGRASS(Coherent GRE法SSFP-FID)やFISP(fast imaging with steady precession)などがあります。
T2強調画像として使用されます。
SPGRやFLASHのフリップアングルを大きくすれば、T2強調画像となります。
その後、高速化したFSPGRやTurboFLASH、FFEなどがデザインされました。
T2*強調画像は磁場の不均一に弱いために、歯の詰め物や術後のペッツやクリッㇷ゚、金属などの影響を受け易く、広範囲で画像が歪んだり、金属部周囲の画像データが消失したりします。
反面、陳旧性の出血の描出や鉄沈着の描出には効果を発揮します。
GRE法における集束方法
MR検査においては、X、Y、Zの3軸において位置決めのためのRFパルスが印加されます。
SE法では180°パルスを用いて緩和を始めた磁化ベクトルを集束させますが、GRE法では、3軸のひとつである周波数軸方向の傾斜磁場を使用します。
傾斜磁場パルスによって緩和を起こさせて、読み取り傾斜磁場で集束を促しエコー信号が最大となった時点で信号を取り出します。
GRE法の画像コントラストは、繰り返し時間(TR)とエコー時間(TE)以外にフリップアングルの大小によってもT1強調、T2強調が左右されます。
GRE法で得られるT2強調似画像をT2スター(T2*)と言います。
通常のGRE法で撮像される画像とSE法の画像には臨床上の区別はありません。
In Phase と Out of Phaseとは
脂肪抑制の記事でIn Phase と Out of Phaseを説明しましたが、これはGRE法における現象です。
水と脂肪は異なる周波数で歳差運動を繰り返しています。
この2つの磁気回転比は極わずかではあるが違いがあるため生まれる現象です。
時間経過によって位相が揃う瞬間と位相が真逆になる瞬間があります。これを In Phase と Out of Phaseと呼びます。
時間に直すと2.25msごとに水と脂肪の位相が反対を向きます。1.5テスラ装置でのOut of Phase時間は2.2ms、6.7ms、In Phase時間4.5ms、となります。
TE(エコー時間)を各時間に合わせることにより各画像を得ることが出来ます。
磁化率強調画像(SWI: susceptibility-weighted imaging)とは?
MR検査において磁化率の強さは負のイメージが強くあります。
脳底部の撮影時には脳実質と鼻腔の磁化率の違いにより画像の歪が起こります。
また頭部検査で言えば、歯の詰め物や入れ歯など画像には良くないイメージでしたがそのマイナス効果を逆手に取った画像が磁化率強調画像です。
磁化率強調は長めのTEと小さめのフリップ アングルを使用することで磁化率の変化に敏感な画像が得られます。
SWIは、高磁場で威力を発揮します。外傷による微細出血以外にも急性期脳血管障害や脳腫瘍などにも有用とされています。